TC-K8B

 SONYのカセットデッキです。
 1970年代の製品で、「TC-K7BII」のVUメータ部を液晶にしたのがこのデッキです。

 

 SONYにおいて「7」は、オープンリールデッキのかつての銘機「TC-777」に由来し、「シリーズ最上位」を表すものだったかと思いますが、「TC-K7II / TC-K7BII」と同等の性能で、当時の最新技術で「レベルメーター部を特別仕様」とした本機は、「7」の更に上の「8」だったのでしょうね。
 SONYのオーディオ機器で、シリーズ最上位モデルの多くは「7」を冠していて、「8」が冠された機種は、そんなに多くはなかったと記憶していますが、その中で管理人は「TC-K8B」が一番印象に残っています。

 

 田舎に住んでいた管理人は、発売されていた頃に実物を見たことはありませんでしたが、最近ヤフオクで入手しました。
 このデッキ最大の特徴である液晶部の劣化がかなり進んでいることもあるようですが、幸いなことに入手したものは劣化の程度は少ないように思います。
 これまでのオーナーの方が「大事に大事に使ってきた」ということなのでしょう。(新品の状態は見たことがありませんけどね)

 

 SONY初めての液晶レベルメーターということもあってか、このレベルメーターはLch/Rchそれぞれ64ステップずつあり、とても滑らかな表示です。
 しかもマイナス側のセグメントは「ブルー」、プラス側のセグメントは「赤」の2色で、背景色もプラス側 (オレンジ) とマイナス側 (白) で色を変えていて、文字色も「黒/赤/青」と、とてもカラフルです。
 今のようにカラー表示のノートPCなんてない時代ですから、当時実物を見た人にはとても新鮮なものに思えたのではないでしょうかね?
 管理人は基本的には「針」のメーターが好きなのですが、このカラフルな表示だけは別です。

 

 最近の製品まで含めても、ユニークなものかと思いましたので、動画を載せてみました。
 「Internet Explorer」 の場合、「Windows Media Player」の実行を許可していないと再生されませんし、
 管理人のPC (Win7+IE11) では、IEを起動して最初に選んだ動画しか再生できず、他は黒画面になってしまいますが、ネカフェのPC (Win10+IE11) では、問題なく再生できました。
 「Google Chrome」の場合は、別ウインドウで再生されるようです。
 「iOS」でも再生できましたが、管理人のiPhoneは「LTE」に対応していないので、再生途中で止まることがありますが、2回目の再生では途切れることなく再生できました。

 

 

 取扱説明書では「液晶ピークプログラムメーター」と呼ばれ、1ページ半に渡って説明されています。
 でも、その後のSONY製カセットデッキで、ここまで手の込んだものがないところを見ると、
・販売台数が伸びず開発費が回収できず、下位機種TC-K7BIIとの価格差¥23,000では大赤字だった、あるいは
・ここまで細かく表示しなくても、録音時に適切なレベル調整は可能
ってことになったのでしょうかね?

 その後発売されたメタルテープ対応の最高級機「TC-K777」のメータもここまで細かくはありませんし、別ページにある「Marantz」の「CDR630」のレベルメーターでは、「OVER」を含めても9ステップしかありません。

 

 なお、バックライトが切れてしまったら、部品入手とか交換作業は容易ではないと思っているので、電源はたまにしか入れていません。
 また劣化が進んでいる為なのか、もともとの性能なのかは判りませんが、室温が0~5℃くらいだと、バックライトが点灯しません。
 「とうとう壊れたか?」と焦りましたが、室温を上げながら何回か電源on/offを繰り返したことろ点灯しました。
 やれやれ.....

 

 当時、この機種とペアになるようにデザインされたプリメインアンプ (TA-F7B、TA-F6B) とチューナー (ST-A7B、ST-A6B) が発売されていました。これらは「B」といっても「ガンブラック」といわれる「メタリックな黒」で、最近の製品でも多くはない色だと思います。
 管理人はそのデザインも気に入っていて、安価に入手して一緒に並べたいところなのですが、置き場所に困ると思っているので、入手はしていません。

 

 操作ボタンにもちょっと特徴があり、こういった操作ボタンは、当時のSONYの「カセットデッキ」と「エルカセットデッキ」の中高級機、及び「リモコン (当時はワイヤレスではなく「有線」です) 」に使われていました。
 TC-R7-2などの「オープンリールデッキ」の操作ボタンもこれに似た「丸い」デザインです。 

 

 SONY製デッキの操作ボタンでこういったデザインが採用されていたのは、限られた時期だけなのですが、管理人がエアチェックするために隔週で発行される「FM fan」を買うようになった頃に掲載されていました。
 その頃、家にあった上面操作型のカセットデッキ (SONY TC-3250SD) は、「ガチャッ」と押し込むタイプだったので、当時はこの操作ボタンを「未来的なデザイン」に感じ、「いいなぁ~~」と思い、とても印象に残っています。
 でも後のモデルでは、例えばYAMAHAの「K-1a」のように操作ボタンを2列に配置したもののほうが多かったように記憶しています。そのほうが「より直感的に操作し易い」ということなのでしょうね。

 

 

 このデッキでは、BIASとイコライザの切り替えが別々になっていますが、この頃のSONYのカセットデッキには微調整は付いていません。

 

 

 自社のテープを使う限りは「切り替えるだけで最適な特性が出ますよ」ということなのでしょうが、自社でテープを作っていない他社のデッキでは、微調整が付いていることもありました。

 

 

 リモコンは、今と違って「有線」です。
 接続ケーブルも太く(直径6mmくらい)、コネクターも大きいです。

 

 

 TC-K8Bの背面に接続用のジャックがありますが、隣にあるACアウトレットと同じくらいの大きさです。

 

 

 これは背面の端子の写真です。当時高級なデッキだったのですが、金メッキはされていません。 

 

 この頃は、「金メッキされていない」端子が殆どだったと思いますし、「端子が金メッキされている」ことをセールスポイントにしていた製品があったような記憶も管理人にはありません。(「金は柔らかく錆びないので、接触不良によるトラブルが起きにくい」ということなのだと理解しています。)
 最近は、普及価格帯の製品でも、金メッキされたものがありますし、数百円のオーディオケーブルでも金メッキされたものがありますけどね。
 「金が昔より安くなった」ということではないのでしょうから、「より薄く安価にメッキ出来るようになった」ということなのでしょうか?

 

 いろいろと見た目で選んでいる管理人ですが、「端子が金メッキされているかどうか」は、管理人が製品を選ぶときの判断要素にはなっていません。でも「HD-414」のページで述べたように、接触不良で困っているときには交換してみる価値はあると思います。

 

 性能的には、1980年代になって発売された「3ヘッド、クローズドループ・デュアルキャプスタン」でメタルテープに対応した「TC-K777」には敵わないかと思いますが、見た目で選んでしまう管理人にとっては、64Step/chのカラー液晶メーターの付いたこのデッキのほうが好みです。

 

 

 

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