HMA-8500

 Lo-D (ローディー) の、パワーアンプ「HMA-8500」と、コントロールアンプ「HCA-8000」です。

 

 おそらく「HMA」とは「Hitachi Main Amprifier」、「HCA」とは「Hitachi Control Amplifier」なのでしょう。
 「Lo-D」というのは、日立のオーディオブランドで、Low-Distortion(低歪)を意味するもので、有名な製品はパワーアンプのHMA-9500でしょうかね。
 本パワーアンプはHMA-9500とは全く異なる外観ですが、これもPower Mos FETらしい華やかな音なのかな?と思いながら管理人が常用しているアンプです。
 当時多かった、シルバーやブラックのヘアライン仕上げと異なり、チタンカラーっぽい外観です。

 

 

 

 このアンプの外観上の大きな特徴が「大きなメーター」だと思います。今時の機器でこれだけ大きなメーターの付いているアンプは結構お高いものになってしまうと思います。

 

 そのメーターですが、動きに方はいくつかの種類があるように管理人は感じています。例えばAccuphaseのメーターは戻りが早い感じ、YAMAHAやMcintosh、LUXMANは、ちょっとゆっくり戻る感じで、これが管理人がメーターに対して持っているイメージと合っています (McIntoshやLUXMANについては、販売店で見ただけでの印象ですが) 。
 一方、このアンプのメーターは動きがちょっと鈍いみたいで、瞬間的な音の場合にはピーク値まで振れていない気がします。
 しかしながら、音は (初期性能は出ていないのかもしれませんが) とても気に入っていて、「修理不能になる迄は、これで行こう」と今は思っています。

 

 

 

 また、このパワーアンプだとスピーカーが2系統使えて、それぞれでon/off出来ますので、「20kHz以上が再生できるスーパーツイーターを加えたときに、違いが判るんだろうか?」なんてことも容易に出来ますが、上位機種のHMA-9500 / 9500MkIIには、そういった機能はありません。
 耳が肥えていないのに、実験みたいなことを色々とやりたがる管理人には、ぴったりのパワーアンプです。

 

 HCA-8000ですが、CD登場以前の製品ですので、CDも映像機器の音声も.....と繋ごうとすると、どうしても入力端子が足りず (Phono、Tuner、Aux、Tape1、Tape2) 、日々「あーでもない、こーでもない」と試している管理人には不向きですが、そこはケーブルを差し替えて対応しています。

 

 

 Lo-Dというブランドを覚えていらっしゃらない方も多いかも知れませんが、昔TBS系で木曜夜9時から放送されていたTV番組「ザ・ベストテン」では、日立もスポンサーのうちの一社で、Lo-DステレオのCMが流れていました。
 HMA-8500を発売する少し前の頃だったかと思いますが、渡辺香津美さんの「ユニコーン (アルバム「TOCHIKA」に収録) 」という曲をバックにしたCMが印象に残っています。

 管理人よりもお若い方は、「中山美穂」さんをイメージキャラクラターにした「Lo-Dのシステムステレオ」のほうが印象に残っているのかもしれません。この頃の各社のステレオは、「Victor / 小泉今日子さん」 「ONKYO / 南野陽子さん」「TRIO / 富田靖子さん」「PIONEER / 中森明菜さん」「SANSUI / 早見優さん」といった感じでした。
 「こういった方々を起用できた」ということは、若い方たちに「オーディオ機器が沢山売れていた」のでしょうね。
 オーディオ機器にイメージキャラクターが起用されることは、最近は少ないと思いますが、4K対応TVだと「Panasonicが、綾瀬はるかさん」、ちょっと前だと「SHARPが、きゃりーぱみゅぱみゅさん」を起用していて、これと同様ですね。 

 

 以下、余談ですが.....

 どなたが名付けたかは存じませんが、「Lo-D」(ローディー) は、ちょっと損をしているネーミングだと思います。
 だって、「ロー・ディストーション」ですよ。「ディストーション」と聴いて「歪み」とすぐに判る人はそう多くはないと思いますし、この会社には「良い物を出せば、必ずわかってもらえる、必ず売れる」という考え方があって、宣伝方法やネーミングについては、高学歴の方々が「玄人受けするように」作っているような気がしています。

 「ハイビジョン」も「ハイファイ」も「ハイレゾ」もそうですけど、一般の方に高性能であることをアピールするのに、「ロー○○」っていうのはね.....
 カセットテープで「ローノイズ」と言えば、一番下に位置付けられるものですし、「ロープライス」とか「ローコスト」は、「おトク」「お値打ち」「お買い得」な意味でのホメ言葉で使われることもありますが、「高性能」「高品質」という印象は与えませんよね。

 管理人も長岡鉄男氏が「HMA-9500」を絶賛するまでは、全く気に留めていないブランドで、学生だった当時はSONY/Technics/Aurexなど他の家電メーカーのオーディオ機器に注目していました。(当時はFM fanしか読んでおらず、Accuphase/Luxman/JBLなどは、まだ知りません)

 古くは、ギャザードエッジ採用の「HS-500」というスピーカーも当時としては画期的なものであったと聞いていますし、世界で最初に録音再生ヘッドを一体化させた3ヘッドカセットデッキ (D-4500) を発売し、国産初のセパレート型CDプレーヤ (DAP-001/HDA-001) も出していました。

 

 このHMA-8500の出力トランジスタには自社製の「Power MOS FET」が使われており、当時SONYやYAMAHAが開発した「V-FET」もそうですが、「理想の音を実現するために、キーパーツを自社で開発する」というこだわりを持ったブランドも少なくなかったと思います。
 たくさん売れたので莫大な開発費を掛けることも出来たのでしょうね。オーディオ界にとっては、「良い時代」だったのだと思います。

 

 

 

 「Lo-D」は、キーパーツを自前で開発でき、技術力も志も高いブランドのひとつだったのだと思いますが、発電所のような重電から各種の家電製品、更には銀行のオンラインシステムのような大規模なソフトウェアまで手掛けている総合電機メーカーですので、縮小してしまったオーディオ市場からは撤退したということでしょうね。

 

「Lo-D」ブランドは今も存在していて、「CK-55」というCDラジカセが発売されています。

 

 但し、昔の「Lo-D」を思わせるような製品ではなく「Made in China」ですので、「OEM購入品」なのかもしれません。

 

 

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